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技術コラム

ゼロトラストとは何か——「境界」に頼らないセキュリティの考え方

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「社内ネットワークの中は安全」という前提は、クラウドとリモートワークの普及で崩れました。ゼロトラストは特定の製品ではなく設計思想です。基本の考え方と、現実的な最初の一歩を整理します。

境界防御モデルの限界

従来の企業ネットワークは「城と堀」のモデルで守られてきました。ファイアウォールという堀の内側は信頼できる領域とみなし、VPNで一度中に入ったユーザーには広い範囲へのアクセスを許す——という考え方です。

しかしSaaSの業務利用とリモートワークの定着により、守るべきデータもユーザーも「堀の外」に出ました。さらに、攻撃者が一度侵入に成功すると、信頼された内部ネットワークを横方向に移動(ラテラルムーブメント)して被害を広げやすいという構造的な弱点もあります。

ゼロトラストの3つの原則

ゼロトラストは「何も信頼しない」という悲観論ではなく、「信頼を毎回検証する」という設計原則の集合です。中核となるのは次の3つです。

  • 明示的に検証する——ユーザー・デバイス・場所・アクセス内容を、接続のたびに評価する
  • 最小権限——業務に必要な範囲だけのアクセスを、必要な期間だけ許可する
  • 侵害を前提とする——「破られたら」を前提に、影響範囲を最小化する設計にしておく

最初の一歩はID基盤から

ゼロトラストというと大掛かりな刷新を想像しがちですが、いきなり全面移行する必要はありません。現実的な順序は、①多要素認証(MFA)の導入 → ②シングルサインオン(SSO)へのアカウント集約 → ③デバイス状態を条件にしたアクセス制御 → ④ZTNAによるVPNの段階的な置き換え、という積み上げです。

特に①と②はコストに対する効果が非常に大きく、多くの組織で数週間のうちに導入できます。逆に、ID基盤が整理されないままZTNA製品だけを導入しても、効果は限定的です。

まとめ

ゼロトラストは製品の名前ではなく、「境界の内側だから信頼する」をやめるための設計思想です。自社の現在地を把握し、ID基盤から段階的に積み上げていくことが、遠回りに見えて最短の道になります。Conveyでは現状のアセスメントから導入・運用まで一貫してご支援しています。